中国のAI半導体メーカー、沐曦集成電路(メタX)が上海市場に上場し、初日の取引で公開価格比約700%高という驚異的な上昇を見せました。これは、中国政府がNVIDIAやAMDといった米大手のAI半導体への依存を減らし、国産化を加速させようとする強い意志の表れと、投資家の期待の高さを示しています。本記事では、メタXの上場が持つ意味と、中国AI半導体市場の現状について分析します。
驚異的な初値と投資家の熱狂
メタXは、AMDの元幹部が設立した企業であり、新規株式公開(IPO)で約6億ドルを調達しました。個人投資家の応募倍率は4000倍を超え、市場の熱狂ぶりを物語っています[3]。初値は700元、終値は693%高の829.9元で取引を終えました。数日前にはライバルの摩爾線程(ムーアスレッド)も上場初日に400%高を記録しており、中国国内におけるAI半導体分野への期待が異常なほど高まっていることがわかります。
米国依存脱却を目指す国家戦略
この熱狂の背景には、米中間の技術覇権争い、特に半導体分野における中国政府の国産化推進戦略があります。米国によるAI半導体の輸出規制が強化される中、中国は国内企業への投資を加速させ、自給自足体制の確立を目指しています。メタXやムーアスレッドのような企業の成功は、この国家戦略の重要なマイルストーンと見なされています。
バブルへの警戒感と今後の課題
一方で、市場の過熱に対する警戒感も存在します。アナリストからは、「メタXの技術はムーアスレッドに遅れをとっており、ファーウェイやアリババといった国内の巨大企業との厳しい競争に直面している」との指摘があります[3]。また、現在の株価水準は「フロス(小さな泡)」であり、バブルの可能性を警告する声も上がっています。中国のAI半導体市場は、国家的な支援と巨大な国内需要に支えられながらも、技術的なキャッチアップと市場の健全性の維持という、二つの大きな課題に直面していると言えるでしょう。
元記事: https://jp.reuters.com/markets/japan/CS7EGJY4LFIY3BKBU4EGREG74Y-2025-12-17/






