導入:国家戦略としてのAI開発
日本政府は12月23日、AI(人工知能)分野における国家戦略の指針となる初の「AI基本計画」を閣議決定しました。この計画は、「世界で最も開発・活用しやすい国」を目指すという明確な目標を掲げ、リスク対応を図りながら、官民一体となってAI技術の推進と社会実装を加速させることを目的としています。
計画の柱:フィジカルAIと国産AI開発への大規模支援
基本計画の具体的な柱として、特に注目されるのが「フィジカルAI」の導入促進と、国産AI開発への大規模な財政支援です。
ロボットとAIの融合「フィジカルAI」
「フィジカルAI」とは、ロボットや機械といった物理的な実体を持つシステムをAIで高度に制御し、現実世界での作業を自動化・効率化する技術を指します。製造業や物流、インフラ管理など、人手不足が深刻化する分野での活用が期待されており、計画ではその導入を強力に後押しする方針が示されました。これにより、日本の強みであるロボティクス技術とAI技術の融合が一層進むことが見込まれます。
国産AI開発への1兆円規模の支援
さらに、直近の報道によると、ソフトバンクなど国内十数社が来春にも設立する国産AI開発の新会社に対し、政府が2026年度からの5年間で総額1兆円規模の財政支援を行う計画が浮上しています。これは、AI分野で先行する米国や中国を念頭に、日本独自の技術基盤を確立し、国際競争力を強化するための重要な一手と位置づけられます。
経済効果と関連銘柄への影響
この基本計画の閣議決定と大規模な支援策は、株式市場においても大きな注目を集めています。特に、AI関連銘柄の裾野は広く、すでに市場では関連企業の株価が上昇する動きが見られます。
注目される関連企業
支援の中心となるソフトバンクグループをはじめ、AI開発に不可欠な半導体関連企業(アドバンテスト、東京エレクトロンなど)や、フィジカルAIの実現に直結するロボット・FA(ファクトリーオートメーション)関連企業(ファナック、安川電機など)が、今後も市場の関心を集め続けると予想されます。政府の強力な後押しにより、日本のAI産業は新たな成長フェーズへと突入する可能性を秘めています。






