東芝が世界トップレベルの精度を実現:大規模プラントの運転データから過去の類似状態を検出する「類似データ検索AI」を開発

# 東芝が世界トップレベルの精度を実現:大規模プラントの運転データから過去の類似状態を検出する「類似データ検索AI」を開発

## 導入文

発電所や化学工場などの大規模プラントの安定稼働と効率的な保守は、社会インフラを支える上で極めて重要です。東芝は、この課題に対し、数千点に及ぶセンサーデータから現在の運転状態に類似する過去の事例を世界トップレベルの精度で検出する「類似データ検索AI」を開発しました。この技術は、プラントの予知保全(CBM)を飛躍的に進化させ、トラブル対応の迅速化に貢献します。

## 要約本文

### 膨大な時系列データから「類似」を検出する技術

大規模プラントには、数千点のセンサーが設置されており、そこから膨大な時系列データが日々生成されています。このデータの中から、現在の運転状態と「類似」した過去の事例を自動で、かつ高精度に検出することは、従来の技術では困難でした。

東芝が開発した「類似データ検索AI」は、同社独自の**異常予兆検知AI「2段階オートエンコーダー」**の技術を応用しています。このAIは、深層学習を用いてセンサーデータの微細な特徴の違いを捉えることで、運転パラメーターの調整や環境条件の変化に伴うわずかな運転状態の違いまで高精度に識別し、類似状態を検出することを可能にしました。

### 世界トップの精度と実プラントでの検証

このAIの性能は、製紙工場の公開データを用いた検証で証明されました。類似事例の検出精度は、従来技術と比較して**1.8倍向上**し、**世界トップの精度**を達成しています。さらに、運用中の実プラントの運転データを用いた検証では、過去の類似データを**95%の精度**で検出できることが確認されました。

この高精度な類似検索により、プラントのオペレーターは、異常や劣化の兆候が見られた際に、過去の類似事例の発生日時や、その事例に対する対応履歴を迅速に参照できます。これにより、原因調査や対策立案にかかる時間を大幅に短縮し、トラブルの未然防止や早期解決に繋げることが可能になります。

### 効率的な運用・保守(CBM)への貢献

本AIの導入は、CBM(Condition based Maintenance:状態基準保全)の実現を強力に後押しします。CBMとは、機器の状態を監視し、劣化の兆候が見られた時点で必要なメンテナンスを行う保全方式であり、従来の定期保全に比べて、保全コストの削減と稼働率の向上に貢献します。

東芝は、この技術の詳細を、データマイニングに関する国際会議「ICDM2025 AI4TS」で発表する予定であり、日本の産業インフラを支えるAI技術として、今後の展開が期待されます。

## 元記事のアンカーリンク

[大規模・複雑なプラントの運転データから、世界トップレベルの精度で過去の類似状態を検出する「類似データ検索AI」を開発](https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/25/2511-01.html)