AIが経営の中枢に参画する新時代
大手企業の間で、過去の経営判断などを学習させたAIを職場や経営会議で活用する動きが広がっています。これは、AIが単なる業務効率化ツールに留まらず、企業の意思決定プロセスに深く関与し始めていることを示しています。
三井住友フィナンシャルグループの「AI社長」
三井住友フィナンシャルグループは、中島達社長の言動を学習した「AI社長」を傘下の銀行に導入しました。このAIは、中島社長のおととし12月以降の経営会議や講演などでの発言を学習しており、行員がチャット形式で会話や質問を投げかけると、社長の視点に立った回答を得られるということです。
行員はチャット形式でAI社長と会話することで、社長の視点に立った回答を得られます。これにより、社内でのAI活用を促進し、新たな視点や議論のきっかけを生み出すことを目指しています。会社では、社内でAIの活用を広げるきっかけにしたいとしています。
キリンホールディングスの「AI役員」
キリンホールディングスは、AIを「役員」として経営会議に参加させる試みを始めています。複数いるAIの役員は、会社が開発したAIに過去の取締役会議の議事録や社内の資料、市場のデータなどを学習させたもので、デジタルや財務といったそれぞれの分野に強みを持ち、経営会議などの議論をサポートするということです。
同社は、豊富なデータに基づいたAIの分析を活用して、より迅速な意思決定につなげたいとしています。会社は、豊富なデータに基づいたAIの分析を活用して、より迅速な意思決定につなげたいとしています。
経営陣の期待と展望
キリンホールディングスの南方健志社長は、社会の変化が速い現代において、経営陣がすべての技術進歩を理解し議論することは難しいと指摘しています。「社会がこれだけのスピードで変化する中で、経営陣が技術の進歩など、すべてを理解し、議論することは難しい。自分たちが見落としがちな社会の見方や技術の視点に気付かせてくれるツールとして期待している」と話していました。
AI役員は、人間が見落としがちな社会の見方や技術の視点に気づかせてくれるツールとして期待されています。これは、AIが人間の意思決定を補完し、より多角的でデータに基づいた判断を可能にする可能性を示唆しています。
AIと経営の未来
これらの動きは、AIが単なる自動化ツールではなく、企業の戦略的な意思決定を支援する重要なパートナーとなりつつあることを示しています。AIが経営層にまで浸透することで、企業の競争力強化や持続的な成長に貢献することが期待されます。今後は、AIと人間の協調による新たな経営スタイルが確立されていくでしょう。
