導入文

日本の金融大手である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、米国のAI研究開発企業であるOpenAIとの間で戦略的連携に関する契約を締結しました。この提携は、MUFGグループ全体のAI活用を飛躍的に拡大し、業務効率化と新たな顧客体験の創出を目指すものです。特に、来年度開業予定のデジタルバンクへの「チャットGPT」標準搭載は、国内金融業界におけるAI導入の新たなベンチマークとなるでしょう。

本文:金融サービスにおける生成AIの最前線

顧客体験の革新:デジタルバンクへのChatGPT標準搭載

MUFGがこの戦略的連携で最も注目すべき点の一つは、個人向け金融サービス「エムット」を核とするデジタルバンクに、OpenAIの対話型生成AI「チャットGPT」を標準搭載することです。これは、国内で初めて生成AIをアプリの標準サービスとして実装する試みとされています。

具体的には、口座開設や各種サービスの申し込みプロセスをチャット形式で支援する仕組みが導入されます。さらに、グループ各社のスマートフォンアプリにもAIが連携され、利用者の状況に応じた家計管理や資産運用に関する自然な対話を通じた相談が可能になります。これにより、特に若年層に対して銀行サービスをより身近なものとし、将来的な資産形成や投資への関心を高めることが期待されています。

業務効率化とAI専門人材の強化

顧客向けサービスへの応用だけでなく、MUFGはグループ内の業務効率化にも生成AIを積極的に活用します。2026年1月以降、全社員約3万5000人が生成AIの業務利用を開始し、文書作成、調査、顧客対応などの広範な業務で効率化を進める計画です。

この本格的なAI活用への移行を支えるため、MUFGはAI専門人材の育成と確保にも注力しています。2024年度に135人だったAI専門人材を、2026年度中には350人超まで増員する目標を掲げており、実証段階から本格運用へとシフトする体制を強化しています。この戦略的連携は、単なる技術導入に留まらず、金融サービスのあり方そのものを変革する可能性を秘めています。

元記事:三菱UFJ、米オープンAIと戦略的連携 | ロイター