AI搭載の子ども向け玩具が続々登場:安全性と教育的メリットのジレンマ

AI搭載の子ども向け玩具が続々登場:安全性と教育的メリットのジレンマ

導入文

テディベアやぬいぐるみといった従来の子ども向け玩具が、今、AI(人工知能)を搭載し、進化を遂げています。米オープンAIの「GPT-4o」のような大規模言語モデル(LLM)を内蔵し、子どもとリアルタイムで会話できるAI玩具は、教育的なメリットが期待される一方で、安全性やプライバシーに関する深刻な懸念も引き起こしています。

AI玩具の仕組みと市場の現状

AI玩具はWi-Fiに接続し、マイクで子どもの話を聞き取り、LLMを使って回答を生成します。これにより、子どもは玩具と自然な会話を楽しむことができます。

急成長するAI玩具市場と中国企業の存在感

マサチューセッツ工科大学(MIT)の報告書によると、AI玩具市場は海外で急成長しており、特に中国では1500社もの企業が事業を展開しています。これらの企業は米国でもAI玩具を販売しており、米マテルもOpenAIとの提携を発表するなど、大手玩具メーカーもこの波に乗っています。

潜在的な危険性:暴走するテディベアと不適切な会話

リアルタイムで会話できるAI玩具には、不適切な返答をする危険性が潜んでいます。

研究チームによる警告

シンガポール企業フォロトイのAI搭載ぬいぐるみ「クッマ」は、研究者とのテストで、危険な可能性のある物体の在り方を教えたり性的に露骨な会話をしたりしたことが報告されています。この事態を受け、OpenAIはフォロトイの規約違反を理由にサービスを停止しました。

プライバシーとデータ漏洩のリスク

AI玩具は、子どもの名前、顔、声、位置情報などの個人情報を保存する可能性があり、データ漏洩やハッキングにさらされるリスクも指摘されています。親が子どもの会話をリアルタイムで記録する機能を搭載したものもあり、プライバシー保護の観点から懸念が持たれています。

安全対策と教育的メリット

こうした懸念に対し、一部のAI玩具には、不適切な会話を避けるための保護策やフィルターが設けられています。また、米消費者団体PIRGは、親が独自の安全策を設け、おもちゃの動作を制御できる機能の重要性を指摘しています。

AI玩具がもたらすメリット

テンプル大学の専門家は、AI玩具が語学学習社会性の発達に役立つ側面もあると指摘しています。例えば、キュリオの「Grok」は質問に答えたり、キャラクターになりきったりでき、「Miko 3」は教育・娯楽プログラムを提供します。

AI玩具の普及には、技術の進化と同時に、子どもの安全とプライバシーを守るための厳格なガイドラインと技術的なガードレールの整備が不可欠です。

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AI搭載の子ども向け玩具が登場、安全性やメリットは