
# AIブームが旧来型ハイテク企業に脚光:バブル化の兆候か、新たな成長の波か
## 導入
AIへの期待が米株式市場を牽引する中、意外な企業が脚光を浴びています。かつて「地味」と見なされていたハードディスクドライブ(HDD)メーカーやメモリー半導体メーカーが、AIブームの恩恵を受けて株価を急伸させているのです。この現象は、AI需要の広がりを示すものなのか、それとも市場の過熱、いわゆる「バブル化」の兆候なのでしょうか。
## 記事の深掘り
### 旧来型ハイテク企業の躍進
シーゲイト・テクノロジー・ホールディングスやウエスタンデジタルといったHDDメーカー、そしてメモリー半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーが、S&P500種株価指数構成銘柄の中で上位の上昇率を記録しています。これらの企業は、AIの進化に不可欠なデータストレージとメモリー技術を提供しており、大規模言語モデル(LLM)の訓練やAI処理を支えるインフラの根幹を担っています。
AIモデルの複雑化とデータ量の爆発的な増加は、高性能なストレージとメモリーに対する需要を劇的に高めています。例えば、HDDはクラウドデータセンターにおける大容量ストレージとして依然として重要な役割を果たしており、マイクロンが提供する高帯域幅メモリー(HBM)は、AIアクセラレーターの性能を最大限に引き出すために不可欠な部品となっています。AIブームは、これらの「縁の下の力持ち」とも言える技術に新たな価値と需要をもたらしているのです。
### バブル化への警戒と市場の健全性
一方で、この急速な株価上昇に対しては、市場の「バブル化」を警戒する声も上がっています。ドットコムバブル期に似た現象として、主力銘柄が割高になった後、二番手、三番手の銘柄に物色が広がるのは、市場サイクルの最終局面に見られる動きだと指摘する市場ストラテジストもいます。AIの具体的な活用が、インターネットの普及と同様に、多くの人々の予想以上に時間を要する可能性も指摘されており、過度な期待が先行しているとの見方もあります。
しかし、AI関連技術を支えるインフラへの投資は、マイクロソフトやアルファベットといった巨大ハイテク企業によって年間数百億ドル規模で継続されており、その需要は本物です。この投資は、半導体やネットワーク機器、データセンターの電力供給など、幅広い分野に波及しており、発電事業のビストラや半導体大手のブロードコム、データベース事業のオラクルなどもAIブームの恩恵を受けています。これらの企業は、AIエコシステム全体の成長を支える重要な役割を担っており、その価値が見直されているとも言えるでしょう。
### 今後の展望
AIブームが旧来型ハイテク企業に新たな成長機会をもたらしていることは間違いありません。しかし、その成長が持続可能であるか、あるいは一時的なバブルに過ぎないのかは、今後のAI技術の進化と社会実装の進展にかかっています。投資家は、企業のファンダメンタルズとAI需要の長期的な見通しを慎重に見極める必要があります。AIがもたらす変革の波は、まだ始まったばかりであり、その影響は今後も多岐にわたる分野に及ぶでしょう。
## 元記事
[https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-21/T2XWA6GPWCHP00](https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-21/T2XWA6GPWCHP00)