ソフトバンク宮川社長「計算基盤が国力」:AIスタートアップへの無償GPU提供を本格化

# 記事3: ソフトバンクのAIスタートアップ支援

ソフトバンク宮川社長「計算基盤が国力」:AIスタートアップへの無償GPU提供を本格化

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導入文

生成AI時代の到来により、国家間の競争軸は「計算基盤(コンピューティングパワー)の規模」へとシフトしています。ソフトバンクは2025年11月5日の決算説明会で、社長の宮川潤一氏が「半導体の次に来るのはAIの計算基盤のサイズ。すべてがコンピューティングパワーだ」と述べ、AI計算基盤の整備を**国家的課題**と位置づけました。同社は、国内のAI分野に取り組むスタートアップ企業への支援を本格化するため、GPU計算資源などを無償で提供するプログラムを強化しています。

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「AI Foundation for Startups」の強化

ソフトバンクは、AIスタートアップの事業化を支援するプログラム「AI Foundation for Startups」を10月1日に開始しており、今回の発表でその枠組みをさらに明確にしました。

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開発フェーズに応じた3つの支援プラン

このプログラムでは、スタートアップの事業フェーズに応じて3つの支援プランが提供されます。

1. **パイロットユーザー向け:** 初期段階の企業に対し、NVIDIA DGX A100一式を最長60日間、**無償**で提供します。これにより、アイデアの検証やプロトタイプ開発の初期ハードルを大幅に下げます。

2. **開発・検証ユーザー向け:** 開発・検証フェーズの企業には、GPU計算資源を**低コスト**で提供し、パートナー企業との連携支援も行います。

3. **事業拡大ユーザー向け:** 事業化段階に進んだ企業に対しては、ソフトバンクからの出資や顧客開拓支援も視野に入れ、事業のスケールアップを後押しします。

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海外勢との競争に対する強い危機感

宮川社長がこの支援を本格化させる背景には、海外勢の動きに対する強い危機感があります。

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激化する国際的な計算資源競争

海外では、大規模なAIインフラ整備が加速しており、国際的な計算資源の競争が一段と激しくなっています。例えば、NVIDIAは10月31日に、韓国の政府・産業界と連携し「25万基超」のGPUを追加配備する構想を発表しました。これは、韓国の産業分野全体でAI実装を進めるための国家的な基盤整備の一環です。

宮川社長は、このような海外の大規模投資を例に挙げ、「日本の産業競争力を左右する要素として計算資源の確保と活用」の重要性を強調しました。ソフトバンクは、スタートアップへの無償提供を含む支援スキームを通じて、国内の開発初期ハードルを下げ、**「計算基盤が国力」**となる生成AI時代において、日本の競争力を底上げする狙いがあります。

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国内AIエコシステムへの貢献

この取り組みは、単なる企業支援に留まらず、国内のAIエコシステム全体への貢献を目指しています。高性能な計算資源へのアクセスは、特にリソースが限られるスタートアップにとって、イノベーションを加速させるための生命線です。ソフトバンクの支援は、国内のAI技術開発を促進し、世界と戦えるユニコーン企業の創出に繋がる可能性を秘めています。


**元記事リンク:**

ソフトバンク、AIスタートアップに無償GPU提供を本格化 宮川社長「計算基盤が国力」——決算会見で危機感